オメガ8(27)ENテストレポート(mixi日記転載)

(mixiの日記からフライト関連を転載しています)

これは3/12(土)に書いたものです。

11日(金)は歩いて帰宅+バス待ちしたためか少し風邪気味。それでも早く家に着いたし、ライフラインは生きているので、他の人に比べれば十二分に恵まれています。

そんなわけで12日はお休み。13日も用事があるので、久しぶりのフライト無しの週末となります。たまっている家の雑務を片付けているわけですが、時間が出来たので気になっていたオメガ8(サイズ27)のENテストレポートをチェックしてみました。

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用意したのは http://www.para-test.com/ から入手したレポート、I木さんからいただいたJHFのDVD。
その前に一応おさらいですが、EN試験は2人のテストパイロットが行い、各テストについて最低2回のマヌーバを行います。その結果それぞれのテストでA~D、あるいはF(失格)にランク分けされ、全てのテストで最も低いランクが、その機体のランクとなります。

オメガ8(27)のテストパイロットはClaude Thurnheer(装備重量85kg)、Alain Zoller(装備重量110kg)が行っています。27の適正体重は85-110kgなので、ちょうど下限/上限で行っています。以下、CT(85)/AZ(110)と略します。

1. Inflation/Take-off
2. Landing
試験内容:立ち上げ・テイクオフ・ランディングでの挙動、特別な技術が必要か。
試験結果:両名ともA判定(問題なし)。

3. Speed in straight flight
試験内容:直線飛行での最高/最低速度を計測。
試験結果:両名ともA判定。最低速度は 25km/h以下。

4. Control movement
試験内容:メーカーが付けたマーカーに従い、両方のブレークを5秒間で引き込み、ストールポイントを確認。
試験結果:CT(85):C判定 45~60cmで失速傾向、AZ(110):C判定 50~60cmで失速傾向。
コメント:これは、上級機は引きしろ(操作範囲)が小さいことを考えると当然か。それより軽めで乗ったほうが早く失速に入りやすいというのは知らなかった。


5.Pitch stability exiting accelerated flight
試験内容:フルアクセル(/ニュートラル)から瞬時に戻した際のダイブの大きさ、潰れやすさを判定。
試験結果:両名ともA判定(ダイブは30°以下、潰れなし)。

6. Pitch stability operating controls during accelerated flight
試験内容:フルアクセルの状態で25%ブレークを引き込んだ際の挙動を判定(潰れが発生するか)
試験結果:両名ともA判定(潰れは発生しない)。

7. Roll stability and damping
試験内容:ロール状態に入れて、その後操作しない場合の挙動を判定。
試験結果:両名ともA判定(減衰傾向)。
コメント:注意:ただしこの試験は減衰の速さは判定していない?

8. Stability in gentle spirals
試験内容:沈下速度3~5m/sのスパイラル状態からゆっくりブレークを戻していった場合の挙動を判定
試験結果:両名ともA判定(直線飛行に戻っていく)。

9. Behaviour in a steeply banked turn
試験内容:ブレークを深く引き込んで2回転した後の沈下速度を判定(14m/s以上かどうか)
試験結果:両名ともB判定(沈下速度14m/s以上)。
コメント:これもこのクラスなら当然か?

10. Symmetric front collapse
試験内容:フロントコラップスを起こした後の挙動を判定。アクセル無し/フルアクセルの2種類。
試験結果;CT(85):D判定、AZ(110):C判定
 アクセル無しの場合は、AZ(110)が回復にB判定(3~5秒)とした以外は全てA判定。
 フルアクセルの場合、導入に両名ともC判定(後ろに45°以上落ち込む)、回復にCT(85):C判定(パイロットの操作を伴って3秒以内)、AZ(110):B判定(3~5秒)。ダイブ・回復後の潰れに関しては両名ともA判定。

コメント:「穏やかな空域」でのアクセル無し/フルアクセルなので、実際は前潰れがおこったら、すぐに対処しないとさらにマズい状態になる、ということか。

11.Exiting deep stall
試験内容:ストールポイントから2秒でブレークを戻した場合の挙動(ダイブなど)を判定。
試験結果:両名ともA判定(ダイブ30°以下、潰れなし)

12.High angle of attack recovery
試験内容:Bストールの状態から徐々に戻した場合(強い迎角からの回復)の挙動を判定。
試験結果:両名ともA判定(3秒以下で回復、潰れなし)

13.Recovery from a developed full stall
試験内容:フルストール導入時の落ち込みと、回復の挙動を判定。
試験結果:両名ともA判定(後ろへの落ち込みは45°以下、回復時のダイブは30°以下、潰れなし)

14.Asymmetric collapse
試験内容:片翼つぶしから回復動作なしでの挙動を判定。50%/75%潰し、アクセルなし/フルアクセルでの計4種類。
試験結果:両名ともC判定だが、Cを付けたポイントが異なる。
 50%/アクセル無し CT(85)が回復動作でC判定(パイロットの操作を伴い3秒以下)
 70%/アクセル無し CT(85)が回復までの変化でB判定(コース変化90~180°、ダイブorロールが15~45°)。AZ(110)は回復までの動作でC判定(コース変化90~180°、ダイブorロールが45~60°)、反対側の翼端折れでC判定(翼端折れ発生)。
 50%/フルアクセル 両名ともA判定
 75%/フルアクセル 両名ともC判定。どちらも回復までの動作でC判定(コース変化90~180°、ダイブorロールが45~60°)、反対側の翼端折れでC判定(翼端折れ発生)。

コメント:50%/フルアクセルがA判定なのは、ラム圧が高いからかな?またダイブが大きくて、反対側の翼端が折れるというのは、自分が朝霧で、回していたのと反対回りにスパイラルダイブに入ったのと同じパターンってことだよね・・・あせあせ(飛び散る汗)

15.Directional control with a maintained asymmetric collapse
試験内容:50%片翼潰しの状態で直線飛行・10秒間で180°(潰れているのと反対側へ)のターンを行い挙動を判定。
試験結果:両名ともA判定

16.Trim speed spin tendency
試験内容:片側のブレークを25%まで引き込んで1回転した後、2秒間で75%まで引き込んでスピンが起きるか判定(スパイラルには入っても良い)
試験結果:両名ともA判定

17.Low speed spin tendency
試験内容;両ブレークを50%引いた状態から片方を75%まで引き込み、スピンが起きるか判定(入ったらD、入らずに1周したらA)
試験結果:AZ(110)がD判定(スピン発生)
コメント:多分これ、今のサミットの感覚で低速小回りターンをやったら高い確率でスピンするってこと危険・警告。

18.Recovery from a developed spin
試験内容:スピン状態からの回復時の挙動(ダイブ、潰れ)を判定。
試験結果:両名ともA判定(90°以内にスピン停止、潰れなし)

19.B-line stall Bストール
試験内容:Bストール状態での挙動、回復時の挙動を判定。
試験結果:AZ(110)のみ、Bストール時の挙動でB判定(翼形が直線を保っていないが安定)
コメント:やっぱり機速がなくなるBストールは何となく嫌。特に上級機には向いていないのでは?

20.Big ear
21.Big ears in accelerated flight
試験内容:両翼端折り(両側20%程度?)での挙動、回復時の挙動。アクセル無し/フルアクセル。
試験結果:CT(85)のみ、回復がB判定(アクセルなし:3~5秒、アクセルあり:パイロットの動作を伴い3秒以下)。AZ(110)は全ての項目でA判定、回復もA(操作なしで3秒以下)。

22.Behaviour exiting a steep spiral
試験内容:スパイラルダイブからの回復動作、ダイブが続くかどうかを判定。
試験結果:両名ともD判定(ダイブが続き、回復にはパイロットの操作が必要)。ダイブでの沈下速度はCT(85)が19m/s、AZ(110)が24m/s

23.Alternative means of directional control 方向コントロールの代用
試験内容:ブレークが使えない場合、CorDライザーで180°ターンを行い判定
試験結果:両名ともA判定(20秒以内)。

24.Any other flight procedure...
試験内容:メーカーが特殊な使用方法を指定している場合、それらをテスト
試験結果:特に無し。

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全体を通して見ると、
・軽めで乗ると、加重が低い分、通常(or翼が対称を保っている状態)では多少不安定になる。重めで乗ると機体の反応が良くなるが、つぶれた場合の挙動が激しくなる。
・オメガ8がC-D判定となっているポイントは、潰れ/ダイブに対する挙動で、パイロットの積極的な操作がなければそのままの状態になる。潰れが起こる→不安定な空域では、直ぐにスパイラルダイブに直結しやすい。
・対応策としては、①当然、潰さないような操作 ②潰れた場合にすぐに対応 ③直らなかったらフルストール(フルストールからの回復はA判定) ④(状況によってはすぐに)レスキュー といった感じでしょうか。

落ち着いてフライトできるような状態になってほしいものです。